top of page

NOT A HOTEL SETOUCHI|瀬戸内の風景と呼応する建築に、左官の質感を添える

  • 2 日前
  • 読了時間: 5分




瀬戸内の記憶を映す建築へ


瀬戸内海に浮かぶ島々。


穏やかな海の水平線、島影の重なり、時間によって変化する光。


そこに建つ建築は、ただ景色を眺めるための器ではなく、その土地で過ごす時間そのものをデザインする存在です。


広島県・佐木島に誕生した「NOT A HOTEL SETOUCHI」。


世界的建築設計事務所であるBjarke Ingels Group(BIG)が手掛けたこの場所は、ホテルという枠を超え、瀬戸内の自然と建築が一体となる滞在体験を提案しています。


大きな開口から取り込まれる海の風景。


室内へ静かに入り込む自然光。


外と内の境界を曖昧にする空間構成。


そこでは、建築そのものだけではなく、そこに触れる素材一つひとつが、空間の印象を形づくっています。


今回、オフィスTAKAHATAは、NOT A HOTEL SETOUCHIの一部空間において、特殊左官仕上げおよびモールテックス施工を担当しました。



空間に静かな表情を与える左官仕上げ


建築に使われる素材には、それぞれ役割があります。


構造を支えるもの。

光を受け止めるもの。

時間の経過を刻むもの。


左官仕上げは、単に壁を仕上げるための技術ではありません。

職人の手によって生まれる微細な表情が、空間に奥行きを与え、建築の印象を静かに支えます。



素材の表情を引き出す意匠壁


均一な工業製品では表現できない、わずかな揺らぎ。

光の当たり方によって変化する陰影。

近づいた時に感じる素材の存在感。


左官仕上げの魅力は、完成した瞬間だけではなく、空間の光や時間とともに表情を変えていくところにあります。


建築の中で主張するのではなく、そこにある家具や景色、光を引き立てる背景となる。

意匠壁には、そのような役割が求められました。




空間の背景となるモールテックス


モールテックスは、薄塗りでありながら高い意匠性を持つベルギー発祥の鉱物系仕上げ材です。

大きな特徴の一つが、継ぎ目のないシームレスな仕上がり。

壁面全体を一つの素材として見せることで、空間に静かな連続性を生み出します。

また、モールテックス特有の鉱物的な質感は、光によって表情を変化させます。


朝の柔らかな光。

夕暮れの低い光。

照明による陰影。


同じ壁でも、時間帯によって異なる印象を見せる。

それは、写真だけでは伝えきれない素材の魅力です。

モールテックスは、単なる「コンクリート風の仕上げ材」ではありません。

空間の背景として、建築の世界観を支える建築素材の一つです。




建築の意図を読み取り、素材を仕上げる


左官工事は、材料を壁に塗るだけの仕事ではありません。


その空間で何が求められているのか。

設計者が描いた質感とは何か。

光がどのように素材へ届くのか。

家具や周囲の素材との関係はどうあるべきか。


一つひとつを読み取りながら仕上げていく必要があります。


特にホテルや滞在空間では、素材のわずかな違いが、その場所で過ごす時間の印象を左右します。


現場ごとに異なる条件の中で、素材本来の魅力を引き出すこと。

それが、特殊左官施工に求められる技術だと思っています。



時間とともに完成していく空間


建築は完成した瞬間が終わりではありません。

人が過ごし、光が入り、季節が移ろうことで、少しずつその場所の表情が深まっていきます。


左官仕上げの魅力は、経年変化を楽しめることにもあります。


均一ではない素材の表情。

手仕事による微細な痕跡。

年月とともに馴染んでいく質感。


それらは、時間を重ねることで完成していくものです。


NOT A HOTEL SETOUCHIという、土地と建築が密接に結びついた場所において、左官仕上げは空間を構成する一つの要素として静かに存在しています。



素材と向き合い、建築の想いを形にする


オフィスTAKAHATAは、モールテックス施工を中心に、特殊左官仕上げを専門とする施工会社です。


住宅からホテル、商業施設、公共施設まで、全国の空間づくりに携わっています。


私たちが大切にしているのは、素材をただ施工することではありません。

設計者が描く空間の意図を理解し、その場所にふさわしい質感として仕上げること。

素材の可能性を引き出しながら、建築の価値を高めること。

NOT A HOTEL SETOUCHIでの施工も、その考え方の延長にあります。


一つひとつの空間に向き合い、時間とともに愛される建築を支える。

それが、左官という仕事の魅力だと考えています。





Project: NOT A HOTEL SETOUCHI

Photo: Kenta Hasegawa



素材のこと。納まりのこと。空間との相性のこと。

計画段階のご相談から、お気軽にお問い合わせください。




変化から生まれる新たな可能性 ―REVERSAL事業について―


空間をつくることは、

単に新しく整えることではなく、

その場所や価値や役割を、もう一度見つめ直すことだと考えています。


私たちは、

「REVERSAL(リバーサル)」というコンセプトのもと、

既存空間に新たな視点を与える取り組みを行っています。



REVERSALとは?


REVERSALは、

リフォームやリノベーションという言葉では捉えきれない、

"空間の再編集"を行うためのプロジェクトです。 


既存をただ更新するのではなく、

そこにある素材、構造、空気感を読み取りながら、

新しい価値へとつなげていく。 


そのために必要なのは、

固定された発想ではなく、

状況に応じて視点を反転させる柔軟さだと考えます。


REVERSALという言葉には、

「現状を見直し、新しい形を考える」

という意味を込めています。



建築設計士の皆様へ


REVERSAL事業では、

設計者のアイデアやコンセプトを読み取りながら、

施工・素材・納まりまで含めて空間を組み立てていきます。


たとえば、

改修を前提とした案件においても、

単なる原状回復ではなく、

既存空間の魅力を活かしながら、

新しい用途や価値を与える方法を一緒に考えていきます。


図面だけでは整理しきれない部分を、

実際の素材や施工によって補完していくことも、

私たちの役割の一つだと思っています。



想像を超える空間を、ともに。


設計者の視点と、

施工者としての技術や経験。


その両方が重なることで、

空間には新しい表情が生まれることがあります。


REVERSALは、

単なる改装工事ではなく、

既存空間の可能性を再発見していくための取り組みです。


変化を加えることではなく、

そこに眠っている価値を引き出すこと。


私たちは、

そうした空間づくりを目指しています。

bottom of page